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こちらのホームページでは「接遇マナー」「ビジネスマナー」について発信しておりますが、わたくしが最も得意とし、また力を入れたいと思っている分野が「医療・福祉に特化した接遇マナー」です。
以前のブログ
でもお伝えしましたが、今回は「尊厳」を念頭に置いて、重要性をお伝えしたいと思います。
ぜひ、介護や福祉現場で働く方は参考になさってくださいね!
そもそも、尊厳とは?
まず、「尊厳」という言葉の意味を考えてみましょう。
「尊厳」とは、辞書で調べると「厳か(おごそか)で尊いこと」「侵すことのできない権威」などと記されています。
「尊厳」が用いられる対象としてよく使われるのが「人間」です。人間にとっての究極的な価値が「人間の尊厳」だと言えます。
「人間の尊厳を尊重する」とは、その人が人として生き、存在していることをかけがえのない価値として大切にすることを表す表現です。
どんな人であれ、その人は、人の子です。全ての人は、誰かが産んだ、人の子です。
嫌いでも、イヤでも、傷つけることは許されない存在なのです。
介護・福祉における「尊厳」
介護施設・福祉施設などの現場において、対象であるのは利用者さん。
その利用者さんが、一人の人として、かけがえのない存在として大切に接してもらうこと。ご自身の思いを叶えられるように、サポートすること。それらが「尊厳を意識した応対」と言えます。
たとえ、話せなくても、聞こえなくても、体が動かなくても、意思疎通を図ることが難しい状態であっても、「尊厳」がなくなる、薄くなることはあり得ません。
利用者さんの状態がどうであっても、「尊厳」を慮る対応をする必要があります。
「どうせ聞こえないから」とぞんざいな扱いをすることは許されないのです。
介護福祉現場においての課題
利用者さんとは、何かしら健常者とは異なる状態のため介護や福祉のサービスを必要とする人が集まります。その中には認知症を患っていたり、心身に障害があったり、意思疎通を図ることが難しい状態の方など、ケアやサポートには、より人手や時間を要する方がいらっしゃいます。
ケアすること、サポートすることが介護士さんのお仕事ではあるのですが、「職員の人手不足」を言い訳に、つい職員本位のケアになっている施設は多いのではないでしょうか?
「トイレに行きたいと言われたが、どうせオムツをしているので、しばらくそのままにしておく」
「時間がないから、一人ひとりの要望を聞かずに、みんな同じようにする」
「人手がないから、寝る時パジャマに着替えてもらうのを割愛する」
「嚥下のリスクがあるから、食べられる可能性のあるものも形状を変えて提供する」
こちらは一例ですが、ドキッとされた方もいるのでは・・・?
同じように、
「認知症を患っているから、こちらの言うことなんて、どうせ理解できない」
「聞こえの機能に衰えがあるから、こちらの声はどうせ聞き取れない」
「話す機能に障害があるから、どうせ自分の気持ちなんて言えない」
そう決めつけて、利用者さんの本心を確認することを省いてしまう、そんな応対が散見されます。
尊厳を意識したケア
上記のように「どうせ○○だから」と考えていませんか??
まず、この考え方を改める事が必要です。
「認知症を患っているけれど、本当はどうしたいのだろう?」
「会話や意思疎通を図ることが難しいけれど、聞こえるとしたら、話せるとしたら、どうしてほしいと言うだろう?」
このように、答えをこちらが勝手に決めつけるのではなく、利用者さんがどうしたいか?を叶えることが、ケアやサポートにおいて何より重要です。
よく「その人らしさ」を叶える。と言います。
でも、「その人らしさ」という言葉すら、本来は間違いです。
「その人らしさ」は、利用者さんの周りの人間が思い描くものであり、「自分らしさ」ではないのです。
「尊厳」=利用者さんから見た「自分らしさ」
これは、実は家族が決めつけることでもないのです。
家族は、長年一緒に生活してきたからこそ「性格」「好み」を少しばかり知っているに過ぎないのです。家族が望むこと=本人が望むこと、と一致しない可能性も大いにあるのです。
どうすればいい?
「尊厳」=思いを引き出すために、どのように関わることがいいのでしょうか?
ポイントを4つご紹介します。
- 声掛けは「伺う、提案、お誘い」
- 常に、平等に声をかける
- 確認方法を工夫する
- 難しい場合にでも、声に出して伝える
ぜひ試してみてくださいね
1.声掛けは「伺う、提案、お誘い」
「○○しますね」ではなく、「○○してもよろしいでしょうか?」「○○しませんか?」が望ましいです。
「起きて、着替えるよ」→「朝ですよ。そろそろ起きましょうか?お着換えのお手伝いをさせていただいてもよろしいですか?」
「ごはんですよ」→「そろそろごはんのお時間です。食堂に移動しませんか?」
「リハビリしないと寝たきりになりますよ」→「また一緒にお散歩したいので、リハビリにお付き合いくださいますか?」
2.常に平等に声をかける
例えば、「いつも不機嫌だから、レクリエーションに誘わない」「寝たきりだし、本人にはわからないから、オムツ交換の際ドアを閉めない」「飲み込みのリスクがあるから、固さのある食べ物はお出ししない」
どうせ○○だから~しない、そんな対応は、なくしましょう。
意志疎通のとれる利用者さんに行うことは、全ての利用者さんに行ってください。
○○の人には~しない。は平等ではありません。
3.確認方法を工夫する
人手不足の現場が大変なことはよく理解できます。でも、それは「尊厳」を無視することの理由にはなりません。
声を発することができない、耳が聞こえないのであれば「筆談」があります。
字を書けないのであれば、指や足で指し示してもらえるような「はい」「いいえ」と書いた紙を用意すれば、意思を確認しやすくなりませんか?
会話で補うことができない場合、他にできる方法はないか考えてみてください。
3.難しい場合でも、声に出して伝える
どうせ聞こえないから。どうせわからないから。と無言でケアを始めることはありませんか?
声をかけることなく、いきなり自分の体を触られたり動かされたりしたら、どんな気持ちになるでしょうか?怖さや不快な思いを感じることぐらい、想像できると思います。
返事や反応をいただけない状態であったとしても、必ず声掛けを行いましょう。
安心していただければ、状態は穏やかになる可能性があります。
上記に記したことは全て、相手のためにやってあげること、ではなく、介護に携わる者としての義務です。
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